1月

ぜんぜんよめてないです。
数多アル併読本から読了したもののみ。
皆々様方が怒涛のように本を読んでいらっしゃって唇かみ締めてる。

そういえば先日何故か大阪に行ったので空き時間に本屋巡りでもしようかしらんとひとりごちていたのに、迷いに迷い駅から徒歩10分のところを40分歩いても辿り着かず(もちろんグーグル先生にも街往く人にも頼った)、ふてくされて結局どこの本屋にも行けなかったというなんとも残念な事象がありました。


2016年1月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:3127ページ
ナイス数:100ナイス

告白 (中公文庫)告白 (中公文庫)感想
内向的かつ思弁的で(しかしそれは全く理解されていない)、思考と言語の結び付きが上手くいかないなかなか難儀で不器用な主人公、城戸熊太郎。実際に起きた事件はいまだに河内音頭として歌い継がれ、これを町田康的解釈で再構築した本作。常時内で垂れ流されている思考を如何に言語にして外に伝えるか。語彙や表現が乏しいという理由から自分の中で齟齬が生じてくるも、それを伝える術がなく途方に暮れ、ただ阿呆な奴と思われる。何故伝わらないのか何故理解してくれないのか。堂々巡りの内に何処に辿り着き、何を告白するのか。圧巻。
読了日:1月30日 著者:町田康

ファイン/キュート 素敵かわいい作品選 (ちくま文庫)ファイン/キュート 素敵かわいい作品選 (ちくま文庫)感想
国内外古典新作問わず、素敵でかわいい、素敵にかわいい名文を集めたアンソロジー。只々無垢なキュートから、言葉の奥から漂ってくるようなファインが絶妙なバランスで散りばめられていて何処か胸が苦しくなる。以前読んだことがある作品も高原さんの素敵な章立てや、前後に並ぶ作品によって捉え方が変わってくる。お気に入りは「雀と人間との相似関係」「鈴木恒夫十三首」「鳥」「うさと私(抄)」。幾つになってもかわいいものはかわいいし、かわいいものを素直にかわいいと感じる心を大切にしたい。かわいいは偉大。
読了日:1月28日 著者:高原英理

ウィスキー&ジョーキンズ: ダンセイニの幻想法螺話ウィスキー&ジョーキンズ: ダンセイニの幻想法螺話感想
ロンドンのとある通りにあるビリヤード台のない、ビリヤード・クラブ。小さな社交場で会話の中心にいるのは初老の英国紳士、ジョーキンズ。彼の体験談から語られる話は多岐にわたり、空想上の生き物が出てくるものから一攫千金を夢見た話、幻想色が強いものまで様々。23篇のめくるめく法螺話(若しくは、真実)は非常にバラエティに富んでおり、どのページを開いても「では、その話をしよう」と語り始めてくれるジョーキンズは、一瞬にしてわたしたちをどこか遠くの世界に連れて行ってくれるのだ。
読了日:1月19日 著者:ロード・ダンセイニ

盤上の夜 (創元SF文庫)盤上の夜 (創元SF文庫)感想
囲碁や将棋、チェッカーといった盤上で展開される卓上遊戯をめぐる短編集。扱われているテーマと縁が無い事からいまいち食指が動かなかったが、読み始めて直ぐに後悔した。盤を介してプレイヤーの思考や心理、観念や内外宇宙が瞬く間に広がっていき、常人では理解できないある種の高みまで到達してしまったプレイヤーの哲学に触れる。表題作の「盤上の夜」の言語が作られていく様子に、まさに言語こそが、現実を規定するのかもしれないとひしひしと思う。
読了日:1月9日 著者:宮内悠介

ダイナーダイナー感想
冒頭から拷問シーンで始まり、終始「死」があらゆるところに散らばっているのに、とことん「生」に対して貪欲で決して屈しない主人公のオオバカナコ。大莫迦な子。出てくる人間全員デタラメで暴力的な残酷表現は凄まじいものがあるのに、それを上回る勢いの鮮明でリアルな料理の描写が上手すぎて不思議な調和が取れている。食べることとは殺すことであり、生きることとは殺すこと。まさに生と死の場であるダイナーで展開されるノワール小説なのに、ロマンスさえも覗かせているところがニクい。お腹いっぱい。
読了日:1月6日 著者:平山夢明

AMEBIC (集英社文庫 か 44-3)AMEBIC (集英社文庫 か 44-3)感想
何かしらの文を日常的に書き綴っている人は、感情を文に置換し吐露することによって一時の昂ぶりを沈めたり逆に深みに嵌ってしまった経験が少なからずあるのではないだろうか。空が白んでくる頃に書き殴った文章を翌日読み返すと支離滅裂ながらも普段は気付かないフリをしていた柔らかい部分が露呈していてドキリとする。自分が知らなかった知らないフリをしていた自分。自分を全部知っているなど全くの幻想であり、酷く浅はかな勘違いかもしれない。「私」と同じく摂食障害気味だった学生の頃に読んだ当時を思い出し、じんわりと苦味が広がった。
読了日:1月5日 著者:金原ひとみ

居心地の悪い部屋居心地の悪い部屋感想
妄執や不安、不条理、不穏、悪夢といった漠然とした「何か」が自分の背後にぴったりと寄り添うように立っていて、その正体が分からぬままただ厭だ、と苦虫を潰したような顔で吐き捨てる。偶然見かけてしまった悪意を飲み下せずに、いつまでも悶々としてしまうような感じ。カヴァンのあざの消化不良感の素敵さは言わずもがな、どう眠った?の夢と建築様式の関係性のオシャレさに驚いた。
読了日:1月3日 著者:

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)感想
素面で読むのが馬鹿馬鹿しくなるアディクトのアディクトによるアディクトのための酩酊小説。昼がぶっ飛び夜が静かに降りてくると思考は停止し、言葉の波が湯水の如く襲ってくる。酩酊の内に見る無意識下で知覚している世界はかくも美しく刹那的で、これは素面では認識が出来ない。言語のテロリズムがわたしを覆い、言葉により世界は組み上げられているとぼんやりと思う。嗚呼天才。
読了日:1月2日 著者:中島らも

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