もう8月も終わるっていうのに7月のまとめ。
メンがヘラり気味なので本が全然読めない。
本が読めないからヘラっているのだとしたら即刻本を読んだほうがよいですね?

シン・ゴジラもサマソニのイエローモンキー、レディオヘッドも何もかもが素晴らしかったです。
なのにわたしはふと気付いたら四半世紀も生きていた。しかしだいっきらいな7月は死んだ。
わたしはロックスターじゃないから27才で死ねないのかもしれないなあと考えるとSAN値がガリガリガリ削られていく。





弐拾五歳 妊娠して人形を産む 父は人体模型であると謂うが誰も信じない
寺山修二     




2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2791ページ
ナイス数:109ナイス

ヤギより上、猿より下ヤギより上、猿より下感想
「デブを捨てに」に引き続き、タイトルからは想像もつかない胸糞悪い系の詰め合わせ。つまり、ザ・平山夢明。「独白するユニバーサル横メルカトル」収録の「無垢の祈り」と同じく子どもへの虐待がテーマとなった「パンちゃんとサンダル」はリアリティマシマシで、何より人が一番怖いのだと再確認。あぁめでたしめでたし。饐えた匂いが漂う表題作は色々な意味でキレッキレで読後感は激烈に爽快。何故だよ。ブスで莫迦の「おかず」が一生懸命で泣けるんだよ。おかしいだろ。最高かよ。
読了日:7月1日 著者:平山夢明


佇むひと―リリカル短篇集 (角川文庫)佇むひと―リリカル短篇集 (角川文庫)感想
リリカル=叙情的、叙情詩的。リリカルな哀愁と優しい悲哀と凝縮されたセンチメンタルが散りばめられていて、ナニカに心を掴まれるような短編集。いつものスラップスティックは無く、じんわりと後味が長く続くものが多い。特に「碧い底」「佇むひと」「睡魔のいる夏」「白き異邦人」「母子像」は格別で、どれも柔軟な発想でニクイ捻りが効いているのに、じわじわと緩やかな死へと続いていくような少し不思議で悲しい読後感。時折ぞっとするような一文が目の前に現れて、ああ正にリリックのようだ。
読了日:7月2日 著者:筒井康隆

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)感想
DX9。日本製家庭用少女型ホビーロボット。通所、歌姫。彼女たちは落ち続ける。近未来のヨハネスブルグ、マディバ・タワーから。ニューヨークの貿易センタービルから。アフガニスタンの沈黙の塔から。そして、北東京の団地の屋上から。DX9を媒介として今を生きる我々に現実を突きつける。国家や民族、宗教、技術は我々に何をもたらし、そして何を奪ったか。設定は近未来といえども日々多様なメディアから流れてくる不穏なニュースと近しい部分は大いにあり、実に生々しくひりつくような重さが残った。
読了日:7月3日 著者:宮内悠介


虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)感想
待ちに待っていたドーキー・アーカイヴ第1回配本。見逃しそうなほど些細な謎や違和感、伏線が積み上がり、世界はどんどんと捻れていき最終的に予想もしない方向に転がっていく。まるで転調するがの如くジャンルを飛び越え、パズルのようにピタリとはまっていくのがとても心地よい。帯に「ストーリー紹介厳禁のサプライズ連打小説」とあるが正にその通りで、前情報を入れずにとにかく読んでほしい。
読了日:7月5日 著者:L.P.デイヴィス



村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝感想
伊藤野枝。大正時代の無政府主義者、ウーマンリブの元祖。わがままで天真爛漫、そしてあらゆる束縛を嫌い何よりもどこまでも自由。学ぶこと、食べること、恋をすること、性に、生に貪欲。そんな彼女の生涯を、思想を、彼女にとことん魅せられた筆者が綴る伝記。故に、彼女のことを贔屓しすぎている分も多々あるが、そんな事がどうでもよくなる位に気付いたら彼女のことを好きになっていた。激烈に生を謳歌している伊藤野枝があまりにも眩しくて、到底真似はできないのは分かっているけれど、自分の信念を曲げずにわがままに生きていきたいと思った。
読了日:7月7日 著者:栗原康

アステロイド・ツリーの彼方へ (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)アステロイド・ツリーの彼方へ (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)感想
2015年の日本SF短編を代表するかのような20編。「小説トリッパー」20周年を記念して<20>をテーマとして書かれたものや「現代詩手帖」の詩×SF特集に寄せられたもの、漫画や同人誌からも載せられておりその振り幅は広い。テーマも「20の法則」、ノアの方舟、源氏物語、自動販売機など並べただけでは想像もつかない程多岐にわたり、改めてSFの懐の深さを感じる。全部面白く読めたのが凄い。お気に入りは上遠野浩平「製造人間は頭が固い」、酉島伝法「橡」、上田早夕里「アステロイド・ツリーの彼方へ」、石川宗生「吉田同名」。
読了日:7月16日 著者:

吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)吉野朔実は本が大好き (吉野朔実劇場 ALL IN ONE)感想
「本の雑誌」に連載されていた読書に纏わるエッセイ、〈吉野朔実劇場〉を1冊にまとめたオールインワン。偶に本の雑誌を買ったときに読む程度だったが、改めて通しで読むと本との付き合い方、向き合い方、楽しみ方がとても上手で共感できる部分が多々あり、そういえばこの連載をきっかけに買った本が幾つかあったなぁと本棚を漁っては手前に並べいつでも直ぐに読める状態にしておいた。好きな本のジャンルが被らないものの、互いの好みが分かっている友人との本の薦め合いが出来るって素晴らしく羨ましい。わたしもこの本を友人に薦めましょうね。
読了日:7月28日 著者:吉野朔実

本の運命 (文春文庫)本の運命 (文春文庫)感想
本を買い、積み、また買う、という日々を繰り返しているとどうにも他人の本との付き合い方が気になる。13万冊もの蔵書を有し、ついには図書館を作るに至った著者と本との関係はどのようなものだったのか。特筆すべきは「井上流本の読み方十箇条」だろう。本への書き込みすら到底出来ないわたしには、本をバラしたりスピンを増やすなど考えもしなかった。言葉を書き抜く、ということはよくやっているけれど、本書はまさに書き抜きたい言葉だらけ。常日頃から本は逃げるから出会った時に買わなければ、と思っているが、同じことが書かれていた。
読了日:7月30日 著者:井上ひさし

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